英語の二重子音字は「マジック効果」をブロックする

よむ とき は ともかく、かく とき は むずかしい

英語の 子音字は 二重にしても 読みかた は おなじ です。たとえば、habit の -b- と rabbit の -bb- は おなじ /b/ です。(ただし、c や g の 場合は 要注意。)

英語の 二重子音字は 直前の 母音字が 「アルファベット読み」ではないことを しめす、と いう こと です。読みかたを 知る うえ では たすけ に なります。(例外は、gross, poll, roll, scroll など、あまり おおく ありません。)

しかし、母音字 が 「アルファベット読み」ではない から と いって 直後に かならず 二重子音字 が くる とは かぎりません。つづりを おぼえる・おもいだす・書く とき には たすけ に なりません。

 

二重子音字の基本ルール

 

「短母音」+「子音字」で 単語が 終わっている 場合、その「子音字」を 二重に してから -ed, -ing, -er, -est, -y など を つける。

--- banned, swimming, scanner, fittest, sunny.

ここでいう「短母音」とは フォニックス で いう 「短音」(「音読み」)の こと でしょうか。

二重子音字を もちいることで、直前の 母音字の 読みかた が 「短音」であることを しめす、と いう 説明 さえ みうけられます。hoping と hopping のような 場合 です。前者は hope の マジック e を とって -ing を つけた もの です が、マジック効果は 持続しています。後者は hop の 子音字 p を 二重にして マジック効果を ブロックしています。

ところが、たまに「短音」でないときも あります。put の t を 二重にして -ing を つけたとき、putting の u の音は 「短音」の /Λ/ ではありません。このような 場合、だから 「短音」ではなく「短母音」なのだ、と いう こと に して おけば うまく にげられます。(もう ひとつ、putt に -ing を つけた ほう の putting は、u を「短音」の /Λ/ で 読みます。)

put の t を かさねずに -ing をつけて "puting" などと 書いたら、"pute" の e を とって -ing を つけたように みえてしまうので、「ピューティング」に なってしまいます。それを ふせぐためには t を 二重にして putting と 書く しか ありません。

ちなみに、computing は「コンピューティング」です。t は 1つです。

 

子音字が r のときは?

 

「短母音」+「子音字」で 単語が おわっている 場合、などと いいますが、では、その子音字が r のときは、どうなるのでしょう。

starry は、star の r を 二重にしてから -y を つけてあるように みえます。しかし、母音字の a は 「短母音」(というか「短音」)でしょうか?


carry の a は 「短音」の /æ/ ですが、starry の a は 「短音」ではありません。むしろ 「長母音」っぽく みえます。せいぜい 「長音」(アルファベット読み)ではない と いった ところ です。

starring は、star の r を 二重にしてから -ing を つけてあるように みえます。

これは、staring との 区別 には 役に たちます。stare の e をとって -ing をつけると staring に なります。これは r 付きの「長音」です。(ちなみに、日本語の「ステアリング」は steering に 由来するので ことなる 単語 です。)

しかし、starring の a は、いわゆる「短音」の /æ/ では ありません。「スターリング」です。

同様のことが、sparing と sparring の場合にも あてはまります。(後者は「スパーリング」です。)

 

二重子音字は 直前の母音字が「長音」ではないことを しめす

 

「短母音」か どうか、「短音」か どうか、ということで かんがえていても わりきれません。

furry などは、発音する人によって、u が 「短音」だったり そうでなかったり します。しかし、fury との くべつ の ため には 子音字を 二重に する 必要 が あります。

「短母音」ということではなく、二重子音字は 直前の 母音字が 「長音」ではないことを しめす、マジック効果を ブロックする、「エイ」「イー」「アイ」「オウ」「ユー」ではない 読みかた に なる、などのように かんがえたほうが すっきりすると おもいます。

これは、書くとき だけ で なく、つづりを 読むとき にも 応用 が ききます。二重子音字の 前は 「アルファベット読み」には ならない、ということ だけ なので。

 

子音字を 二重にするとき、しないとき

 

submit を 過去形にするときに 末尾の t を 二重にして submitted と 書くのは、第二音節に ストレスが ある から です。vomit を 過去形にするとき t を 二重に せず vomited と 書くのは 第二音節に ストレスが ない から です。

permit に -ed, -ing を つける とき は、t を 二重にして permitted, permitting のように します。一方、limit に -ed, -ing を つける とき は、t を 二重に せずに  limited, limiting のように します。(ちなみに、united は unite の e をとって -ed を つけた もの。)

子音字を 二重に するのは、原則として、直前の 母音字が アクセントの ある 「短い」 母音 で ある 場合 に かぎられます。 confer, occur, prefer, recur, refer などに -ed や -ing を つける とき も r を 二重に しますが、これは 直前の 母音字が 「短い」から ではなく、「アルファベット風の 読み」には ならない と いう こと を しめして います。

ただし、例外 も あります。

control に -ed を つけるとき、l を 二重に しますが、その 直前の o は 「長音」(「アルファベット読み」)の o です。(あるいは、第二音節の o は、もはや  long-O とは 言えないような 発音 なのでしょうか?)

だとしたら、「短母音」+「子音字」ではなく、「母音字1つ」+「子音字」ということ に なってしまいます。

travel や worship など は、最後の 子音字を 二重に してから -ed を つける とき も ありますが、原則 から は はずれています。第二音節に ストレスが ない から です。

 

それでも二重子音字の直前には「短母音」があるはず?

 

「短母音」+「子音字」の ような ルールを 拡大解釈すると、二重子音字の 直前には 「短母音」が ある はず だ と いう こと に なる はず。

「短母音」というのは ストレスが ある こと が 前提 です。(ストレスが なければ 「あいまい母音」あるいは「弱母音」です。)

ところが、借用語彙の おおい 英語の こと なので、二重子音字の 直前に 「あいまい母音」が くる こと も めずらしく ありません。(たとえば、account, addition, committee, connect, official, oppose, success など。)

そして、「あいまい母音」の 直後では、子音字が 二重に なる とき も ありますが、二重に ならない とき も あります(about, amount, cadet, opinion)。また、「短母音」の 直後に おいても、語中の 子音字が 二重なのか どうか は 単語ごと に きまっている よう です。

 

読むときも 書くときも 一貫性のあるルールは 存在しない

 

二重子音字の 直前の 母音字(ひとつ)は、アクセントが あれば 「短い」 読みかた の ほう に なる こと が おおい よう にも おもえます。いいかえれば、英語では ストレスのある 母音字 (ふつうは「短音」)の あとに 二重子音字が くるのは めずらしくありません。一応、これが 基本です。
ex. battery, better, buddy, cunning, daddy, funny, goddam, goddess, guppy, hobby, kitten, lobby, maggot, manner, nugget, puppet, shredder, sudden, summer, summit, terrible, terror, upper, zipper.

bullet や pudding の u に 注意。

ただし、ss や ll の まえ では 例外(bass, gross, roller, swollen)も ありえます。

アクセントの ない 場合 でも、「エイ」「イー」「アイ」「オウ」「ユー」とは 読まずに、よわく みじかい 音 に なる の が ふつう です。
ex. account, addiction, balloon, community, effect, illegal, immoral, occur, pollution, succumb, suggest, surrender, terrific

そして、子音字が 二重に なっていなくても、直前の 母音字を 「短く」 発音する 場合も あります。
ex. acid, bigot, body, cabinet, camel, camera, city, civic, civil, copy, denim, devil, driven, edit, family, habit, lemon, lily, limit, manor, medal, melody, melon, memo, memory, menu, metal, model, module, monument, opera, pedal, pivot, proper, pumice, punish, risen, river, solid, sonic, study, tacit, tenor, tonic, travel, very, vigor, wagon, yeti.

つまり、二重子音字の 直前は かならず 「短音」とは 言いきれませんし、二重子音字の 直前で なくても 「短音」 だったり します。

rabbit と habit は 韻を ふむ の ですが、前者は 二重子音字 -bb- が あり、後者は b が ひとつ だけ。しかし、a の 文字の 読みかた は おなじ 「短音」 です。

attic と automatic は 韻を ふむ の ですが、前者は 二重子音字 -tt- が あり、後者には 二重子音字は ありません。しかし、ストレスの ある 母音字 a の 文字の 読みかた は おなじ 「短音」 です。

manner と manor についても おなじような こと が 言えます。

要するに、一貫性 は ありません。

では、二重子音字 には まったく 意味 は ないか と いえば、そんなことも ない よう です。

 

二重子音字による区別

 

なかには、coma/comma, diner/dinner, later/latter, super/supper など に みられる ような 母音字の 読みかた の ちがい が 二重子音字 に よって くべつ されるような ばあい も あります。

fury と furry のように、子音字が r の ばあい にも あてはまります。

また、below と bellow のような ばあい は、ストレス の 位置 が ことなります。

 

waggon vs wagon

 

もともと waggon と 書いていた つづり が、米語では wagon と 書くように なり、いかにも カンタンに なった ように おもって しまいがち ですが、実際には、母音字の a の 読みかた が つづり から は 判断 しにくく なった だけ の よう な 気 が します。

 

二重子音字 ss は 要注意


dessert の ss は /z/ の 音 です。desert との 混乱に 注意。
(ちなみに、desert には 第一音節に ストレスが あるものと、第二音節に ストレスが あるものと が あります。)

dissolve は、接頭辞 dis- が solve の 前に ついているようです。ss が /z/ の音なのが 不可解。

ひどいのは dissect。接頭辞 dis- が sect の 前に ついているのですが、ss の前の i は ときおり 「長音」で 発音 される こと も ある らしい。

possess も possession も、ストレスのない o の 直後に 二重子音字 ss が ある。この ss は /z/ の 音 なので 要注意。

scissors の -ss- も /z/ の 音 です。



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