穏健派の英語つづり字改革案

すべてを否定するのではなく、長所は のこし、短所は なおす

 

いま現在 つかわれている 伝統的つづり字 とは まったく べつ の ことなる 体系を あたらしく つくりあげるのではなく、既存の 体系に おける 例外を 修正し 規則化 しよう と する つづり字改革案 も あります。

結果的 には、表音原則 を 重視する 急進派 の 改革案 と 比較 して、同音異綴語 の くべつ を かなり 維持 する こと に なります。mail と male の くべつ も、know と no の くべつ も、halve と have の くべつ も 維持されます。

発音 に 関係 の ない 文字 を すべて 削除 する のではなく、単語 の つづり の くべつ に 役に立つ 場合 は 読まない 文字 で あって も そのまま のこしておく こと が 必要 です。

結局のところ、フォニックス の ルール に 合致 しない 例外 の うち、規則的 に 書きなおす ことに なる 単語 の つづり は、さほど おおくなる わけ では ありません。

 

 

 

SR1

 

かつて スペリングソサエティー の 「ハウススタイル」 と して 採用 された こと も ある "SR1" は、ルール5つの つづり字改革案 です。

http://en.wikipedia.org/wiki/SR1#Spelling_Reform_Stage_1

Using SR1 as a starting point, the Simplified Spelling Society (SSS) created a five-part reform proposal called Stage 1.[5] The proposals were first printed in the November 1983 edition of the society's newsletter.[5] In April 1984 they were adopted as the 'house style' of the SSS at its yearly meeting.[5] The SSS said that the reforms could be used either together or individually (as a step-by-step change).[6]

 

http://en.wikipedia.org/wiki/SR1#Spelling_Reform_Stage_1

1. 「短音」の e は つねに e の 文字 で 表記 する。
2. 不要 あるいは 誤解 を まねくような 場合 に おいて は e を 削除 する。
3. "ph" が /f/ の 発音 の とき は f の 文字を つかう。
4. "augh" の 文字列 を ふくむ 単語 に ついて の ルール
5. "ough" の 文字列 を ふくむ 単語 に ついて の ルール



うえ での ばんごう は ウィキペディア での 掲載順 に したがって 便宜的に つけた もの です。スペリングソサエティー の ページ では、よぶん な e を 削除 する ルール が 5番目 に なって います。

https://www.spellingsociety.org/journals/j8/implications.php#gib

https://www.spellingsociety.org/aboutsss/leaflets/tough.php

この改革案 には、二重子音字に ついての 規定は ありません。なので、上記1番目 の ルール に あるように 母音表記を 変えても、それに ともない 直後の 子音字 が 二重 に なる ような こと は ありません。

Examples:

  • /ɛ/ represented by a: any→eny
  • /ɛ/ represented by ai: said→sed
  • /ɛ/ represented by ea: ready→redy
  • /ɛ/ represented by ei: heifer→hefer
  • /ɛ/ represented by eo: jeopardy→jepardy
  • /ɛ/ represented by ie: friend→frend
  • /ɛ/ represented by u: bury→bery
  • /ɛ/ represented by ue: guess→gess


SR1 に おいて よぶん な 文字 が 削除 されるのは、1番目 の ルールに よって ea, eo, ei, ie, ue など が e に なる 場合 と、無音の e が 不要 あるいは 誤解を まねく ような 場合と、AUGH や OUGH に おける GH が 発音 しない 場合、など です。

night や knight に おける 読まない文字 も そのまま で ある だけでなく、know も そのまま です。

sight と site の くべつ も、right, rite, write の くべつ も そのまま です。

half や psalm など も そのまま です。

「超」穏健 な 改革案 で ある が ゆえ に 批判 される こと さえ あった ほど です。

https://www.spellingsociety.org/journals/j2/jimmieson.php

Of late SR1 has increasingly been criticized from several quarters as:
a. not being an effective spelling reform on its own, due to it not being too conspicuous in day to day written articles;
b. not being effective enough in altering those difficult words encountered early on by children;
c. being a method of spelling reform which has tried but has achieved very little.


要するに ひかえめ すぎた のです。(もっとも、大胆な 改革案に 対しては、やりすぎだ という 批判が 予想 されるのは ほぼ 確実 ですが。)

つぎ に しめすのは 不要 な e を 削除 した 単語 の 例 です。(ウィキペディアより 引用。)

are→ar, were→wer, give→giv, have→hav, some→som, because→becaus, gauze→gauz, leave→leav, freeze→freez, sleeve→sleev, valley→vally, achieve→achiev, examine→examin, practise→practis, opposite→opposit, involve→involv, serve→serv, heart→hart.


valley が vally に なるのは いいとしても、alley が ally に なってしまうのは 回避 する 必要 が あるでしょう。(alley と ally は 読みかた が ことなります。)

browse の e を とったら brows に なってしまい、brow の 複数形の ように みえてしまいます。

please の e を とったら pleas に なってしまい、plea の 複数形の ように みえてしまいます。

不要な e の削除ルール は、実は 意外と やっかいです。

つぎに 紹介する つづり字改革案 (Seven Simple Rules for Simpler Spelling) に おいては、このルール は ありません。なので、are, were や give, have, live, some や browse, please などの e は そのまま のこります。ただし、ルール3によって heart や hearth などの e は おちます。

 

Seven Simple Rules for Simpler Spelling

 

Derek Jensen に よる 英語つづり字改革案 です。

http://simplerspelling.wordpress.com/the-spellings/

読まない 文字 の うち b, g, gh と receipt の p を 削除し("recete")、ea, ear, eau, ei など の 混乱を 収拾し、/f/ の音を f の文字 で 表記 する など、ルールの すくない 穏健派 の 改革案 です。体系性 は ありません。

【関連するページ】 7つの単純なルールによる英語つづり字改革案

 

Seven Simple Rules for Simpler Spelling
(より単純なつづり字のための7つの単純なルール)

1. Use simpler alternatives
(より単純なほうの選択肢をつかう)

2. Spell /e/ as E
(「エ」の発音を E の文字で表記する)

3. Respell EA when it does not have the /ee/ sound
(「イー」の発音を有していないときは EA のつづりを変える)

4. Spell /f/ as F
(/f/ の音を F の文字で表記する)

5. Remove silent GH
(発音しない GH をとりのぞく)

6. Remove silent G and silent B
(発音しない G と発音しない B をとりのぞく)

7. Respell EI unless the sound is /ay/
(発音が「エイ」ではない場合は EI のつづりを変える)

 

2番目のルールは、"ER" も ふくみます。word, world が werd, werld に なります。

 

3番目のルールは、R の まえ の EA というか EAR の こと も ふくんでいます。それどころか EAU まで ふくんでいます。buroe(bureau), platoe(plateau), chatoe(chateau) や buty(beauty), butiful(beautiful) などです。(なお、bureaucracy や bureaucrat に ついて は 不明 です。)

リンクさき の ページでは、具体例を 豊富に のせて あるの ですが、もと の つづり ではなく 書きなおした かたち での つづり のみ です。

 

 

 

この改革案 に おいて は、b, g, gh を 削除 する 際に、母音表記を 修正 したり、文字 を おぎなったりします。f の おと は f の 文字で かきます。(さらに、ea, ear, eau, ei の つづり の ふきそくせいを かなり へらします。)

 

friend, pleasure, treasure, treachery などを frend, plesure, tresure, trechery のように かきます。

 

again, against の つづり を agen, agenst に かえてしまうのは、アメリカ英語 の 発音 に あわせてのことなのでしょう。

 

earn, learn, search を ern, lern, serch に かえます。

 

word, world を werd, werld に かえます。

 

heart, hearken, hearty, hearth は、それぞれ hart, harken, harty, harth に なります。

 

bear, tear, wear が bair, tair, wair に かわります。(「なみだ」 の "tear" は そのまま。)

 

break, great, steak が braik, grait, staik に なります。

 

yea, yeah は、それぞれ yay, yaa (yah ではなく?) に なるようです。

 

bureau, plateau, chateau は、buroe, platoe, chatoe に なります。

 

(なお、bureaucracy や bureaucrat に ついて は 不明 です。おそらく、burocracy, burocrat か?)

 

beauty, beautiful は、buty, butiful など です。

 

さらに、ocean, oceanic, sergeant は、ocian, ocianic, sargent です。

 

comb, tomb, womb は coam, toom, woom と 書きます。

 

deign, feign, reign を dein, fein, rein と 書きます。

 

align, benign, malign, design, resign, sign など の g を 削除 する 際に、語末に e を 追加 して、aline, benine, maline, desine, resine, sine の よう に 書きます。

 

impugn は impune に なります。

 

eight, freight, neighbor, weight は eit, freit, neibor, weit と 書きます。

 

neigh, sleigh, weigh は nei, slei, wei と 書くこと に なります。

 

high, sigh, thigh は、hi, sie, thie と 書きます。

 

height は hite と なり、sleight は slite と なります。

 

light, night, right, sight, slight は、lite, nite, rite, site, slite の よう に 書く こと に なります。

 

night は nite に なり、knight は knite に なります。right と rite は、りょうほう rite に なりますが、write とは くべつ できます。

 

cough は coff と なり、enough は enuff と なります。

 

この改革案 は 現実的 ですが、不規則性を 修正 する はんい が かぎられており、発音 に 無関係 な 文字 は かなり そのまま のこります。answer, island, yacht など は そのまま です。("ルール4つ"では、anser, iland, yot に なる。)

 


つぎに 紹介する べつ の つづり字改革案 には、もと の つづり と 書きなおした かたち での つづりを のせた 単語一覧表 が サイドバー に あります。アルファベット順 なので めあて の 単語を さがす際 には 便利 です。

 

Roland Grant による英語つづり字改革案

 

これは もともとは アメリカ人むけ の よう です。前半は ドイツ語 の つづり字改革 が 実行されたという はなし。後半は 英語 も つづり字改革 が 可能な はず だ と いう はなし です。(ドメイン失効)

If Germans can reform...
http://www.tysto.com/articles05/q1/20050221spellingreform1.shtml


...So can Americans
http://www.tysto.com/articles05/q1/20050225spellingreform2.shtml

とても 穏健 で あり、これなら 実行 できそうにも おもわれます。ただ ざんねんな ことに、すべてを ルールとして 明文化 して あるわけではなく、単語の 一覧表を みなければ はっきりしない 場合 も あります。

概略は つぎの とおりです。

 

http://www.tysto.com/articles05/q1/20050225spellingreform2.shtml

1. Use simpler spellings where available
(可能な場合は より単純なつづりをつかう)

2. Change PH to F
(PH を F に変える)

3. Remove silent GH, G, and B
(発音しない GH, G, B をとりのぞく)

4. Fix EA confusion
(EA の混乱を収拾する)

Further Reforms
(さらなる改革)

 


1. Use simpler spellings where available

2. Change PH to F

3. Remove silent GH, G, and B

4. Fix EA confusion

EA can make any of several sounds but is most usually associated with the long E sound.
Using EA only to make the long E sound or E and A (like create) is a simple change that makes spelling and pronunciation more reliable.
Over 800 words fall into this category.

Change EA to E, with doubled consonant where necessary, where it is short E or schwa
(bred, led, thretten, deth, steddy, alreddy, fether, welth, ern, lern, serch); special cases: ocian, ocianic, sargent.
Change EA to AI where it is long A (bair, pair, grait, wair, tair).
Change EA to A where it is broad A (hart, harken, harty, harth).

Further reforms


この改革案 では、必要に 応じて あらたに 二重子音字を もちいる 場合が あります。うえ の 例 で いう と、threaten, steady, already が thretten, steddy, alreddy などと 書かれる 場合 です。a を 削除 して 直後の 子音字を 二重に しています。

単語の 一覧表を みて おどろいたのは、neighbor が naibor に なるのは いいと しても、weight が wait に なったり、reign が rain に なったり して いた こと です。ちなみに、rein は そのまま です。

feign は fain に なったり しますが、feint は 表に のっていないので おそらく そのまま でしょう。

おそらく、/ei/ が "eigh" や "ei" で 書かれているときは "ai" で 書きなおす という ルール なのでしょう。原文 では、ルール3(3. Remove silent GH, G, and B)の "changing EI to AI where it is long A (frait, aiteen)" の 箇所 です。

neigh, sleigh, weigh は nai, slai, wai でした。

ちなみに、straight は gh を 削除 して strait に なっていました。

 

Valerie Yule による英語つづり字改革案

 

【---】 --------
http://www.valerieyule.com.au/ssurplu.htm
http://www.valerieyule.com.au/intspel.htm
https://spellingsociety.org/uploaded_views/pv10yule-personal-view.pdf


発音にも 意味にも 関係のない 余分な 文字を 削除する。
f の音は f の文字で 表記する。
j の音は j の文字で 表記する。



発音 にも 意味 にも 関係の ない 余分な 文字を 削除 する ことを めざしつつも、kno(know) と no の くべつ を するために 無音の k を のこします。bight, bite, byte の くべつ も そのまま のこります。

ただし、おおまか な ルールが ある だけで、詳細は かならずしも はっきりしていません。

よぶん な 文字 に ついて の かんがえかた の ちがい から、letter を letr と 書いたり、easy を esy と 書いたり する こと にも なりかねません。省略できそうな 母音字を かなり 省略 してしまう よう です。

 

穏健派の改革案の問題点

 

穏健派の 改革案は、部分的修正で あるがゆえに、英語の つづり と 発音 の ふくざつ な 対応に 関して すべてを 解決 する もの では ありえません。

急進派の 改革案に くらべて、ルールが ふくざつ か、あるいは 中途半端な ルール の 羅列 の よう にも みえてしまいます。

ただし、フォニックス の ルール に そって まよわず 読める カンタンな 単語の つづり で さえ 一律に すべて 変えてしまうような 急進派の 改革案と くらべて、穏健派の 改革案は 単語の つづりが よほど 変則的で ない かぎり は そのまま のこします。

ルール だけ で つづり の 書きかたを 決定 する 表音主義 の 改革案 と くらべて、穏健派 の 改革案 は 「もとの つづりを 知っていることが 前提」です。もとの つづり の 不規則 な ところを どのように 変えるか と いうことに なるからです。

 

つづり の 書きかた に 一貫性を もたせるのではなく、読みかた が わかりやすくなるように つづり を 書きなおす。いきすぎた 単純化 は さける。

 

【関連するページ】
伝統重視の英語つづり字改革案(TSR)

 

  • 体系的だが穏健派。いわゆるマジックeと二重子音字の基本ルールを尊重する。
  • この改革案には、母音と子音 の 発音とスペリング の 対応一覧あり。
  • mail/male, sight/site などのような つづり の くべつ は たもたれる。
  • hour/our, know/no, write/rite など の つづり の くべつ を、'our/our, 'no/no, 'rite/rite などのように、アポストロフィーをつかってしめす。
  • sign の g は そのままだが、gnash の g は さくじょ。
  • gh /f/ は f あるいは ff で かく。よまない gh が、かなり のこる。
  • ph /f/ を そのまま たもつ。(ただし、ギリシャ語起源の単語に限定。)
  • ch /k/ は、そのままのはずだが、単語つづりかえリストをみると、つづり が すこし かわる。
  • th は、有声音・無声音で そのまま。

 

 

  



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